【地域課題解決のためのGR】「新型コロナウイルスを官民連携で乗り越える」ために何が必要か《第1回GR勉強会》鎌倉市長・松尾崇、CFJ・関治之、カマコン・宮田正秀》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【地域課題解決のためのGR】「新型コロナウイルスを官民連携で乗り越える」ために何が必要か《第1回GR勉強会》鎌倉市長・松尾崇、CFJ・関治之、カマコン・宮田正秀》

GR勉強会

◼大事なのは普段からの信頼関係

———GRのなかでも我々は「民間」サイドでリレーションをつくってきています。そこで痛感するのは、行政の「内部」の問題はシビック・テック(【注】市民自身がテクノロジーを活用し、行政の問題や社会課題を解決する)でもなかなか解決しにくいと思います。特に大きいのは組織間の壁ですね。これは庁内の壁で、なかなかうまく情報が連携できないというのもあります。
 例えば基礎自治体と県の間で情報がうまく連携できない、そもそも「定義」が違うとかですね、そもそも関係がうまくいっていないとか、そうしたことに対してわれわれみたいな組織だからこそつなげられる部分がありそうしたケースもあるのですが、さすがに緊急時はそこまではやってられませんので、普段から関係性ができているところはうまくつなげることはできますが、普段できていないところでは、緊急時では無理なんです。

 シビック・テック団体は普段からリソースはないわけです。でも、いざというときにパワーを発揮したりするので、普段からちゃんとコミュニケーションをとっていただき、信頼関係をつくっていただく。なるべくともに学んでいけるような信頼関係を普段からつくることが重要だと思います。

吉田———松尾市長、組織の「中」の壁、市役所の中であれば、首長のマネジメントとかでなんとかなるところがあると思うんですが、県と市町村の壁というのは、例えば、神奈川県との壁という意味ではどんな葛藤がありましたか。

松尾———感覚的に県と市町村は「別組織」、「別会社」というところがありますから、最初からうまくいかないという思いもありながらも、共同の入札のシステムを県が音頭をとってつくっていたりとか、神奈川県もいろいろ取り組みをしてくれていてす少しずつその溝が埋まってきているところはあると思います。鎌倉市にも県の職員を招請し、県としっかり連携できるように模索しております。

吉田———そういう人事交流は大事です。県と市町村とでは「風土」、文化が違いますから。私も横須賀で8年、市長をやっておりましたが、例えば横須賀市では、「県のいうことなんか聞くなよ!」という文化が風土としてあったりして(笑)、お互いのカルチャーを知る上でも人事交流は大事だったりしますね。

 今回、松尾市長は、コロナ対策で全国青年市長会の自治体を俯瞰してみることができたと思うんですが、「注目した政策」はどんなものがありますか。

松尾———まず、スピード感という意味で、コロナの状況で自分の町の現状を把握し、国と県との関係があり、国や県も政策が出てくるなかで、それを見ながら市はどう政策をつくっていくか、もちろんそ独自の市の政策を打つ手もありますが、そうしたことを勘案し慎重にみると、福岡市(福岡県)市長・高島宗一郎さんはものすごいスピード感でかつオリジナリティのある「かゆいところに手が届く」政策を多くパッケージで出していたことに、圧倒されました。

吉田———高島市長は、東日本大震災のときも、熊本大震災(2016年)の時もそうでしたし、さすがですよね。特にテクノロジーをうまく使ってLINE「子どもたちへのSNS相談」をやったのはたしかに一番早かったと思います。

 政策がどう作られるかについて、普段ですと部・局が予算をあげ、財政課が査定をし、市長の査定もあり、議会に咨るという流れが一般的にあると思うのですが、災害時の「政策立案プロセス」は普段とどう違うんですか。

◼︎有事の政策立案プロセス

松尾———基本的には災害時でも変わりません。しかし、鎌倉市の場合は、スピード感を出すために、特別にコロナ対策のプロジェクトチームをつくりました。各部局で一目置かれている「エース級」の職員を一堂に集めて政策づくりをやりました。これはもちろんメリットとデメリットが共存する形で「抜かれた」部局は一時的に戦力ダウンするのはわかっていましたが、今回のコロナに対する政策立案のスピード感をそのチームでつくる取り組みをしました。
 当然、部局と私自身がぶつかった場面もありましたが、その際に喧々諤々の議論ができたことは非常に大きな成果だったと思います。非常時の取り組みとして政策づくりとは、プロジェクトチームで一気につくり、それを部長級が入っている「コロナ対策本部会議」にかけて意思決定をして進めました。

吉田———クラウド・ファンディングで街の飲食店を応援しようという取り組みで、鎌倉市は全国で2番目くらいのスピード感だったと思いますが。

松尾———これは市の職員、担当部局が忙しいなか取り組んでくれました。今回、どこの町も共通しておりますが、商業、とくに飲食店が大きなダメージを受けてきましたので、そこをどうするべきかという問題がありました。
 鎌倉市の商工課は、通常、課長1人とほか3人程度の部署でしたが、今回、3、40人でやるべき仕事量を回すほどたいへんだったと思います。さらにクラウド・ファンディングを作り上げてくれたのはすごく頼もしかったです。

吉田———カマコンの宮田さんなどもクラファンづくりに協力されたと聞いております。いい感じのスピード感で官民連携できていると思いました。

松尾———そうなんです。この取り組みは行政だけでできたことではなくて、もともと「カマコン」のクラウド・ファンディングの仕組みがすでに走っていたものを、利用させていただきましたから、そういう意味では調整を行政が行わせていただいたというわけです。それに加えて、市民のみなさんの協力でできたと思います。

吉田———関さんに同じ質問ですが、CFJでいろいろな都道府県を見てこられて、どの都道府県が組みやすかったですか? 

———CFJ自身は東京都以外は都道府県と直接やりとりはそんなにしていなんです。CFJとして組みやすさは比較ができません。ですが、官民連携のあり方として感心したのは、神奈川県と「LINE」とのアンケートですね。最終的には厚労省がやることになりましたが、あれがサーベイの一つの情報となって全国展開されたのが、結構面白いと思いました。

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「コロナ対策 自治体最前線‼️」
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【日本販GRとはどんなときに役立つのか】

(一社)日本GR協会とは】

 行政だけでは解決できない構造的な課題が増えている。お金もない、人もいない、新しい課題に対応できるノウハウもない。一方で民間にはサービス・ソリューション・プロダクトがあり、課題解決に資する。それをうまくマッチさせることで良質な戦略的な官民連携を行うことで地域課題解決が前に進む。これがGRであり、GR協会はそれを広めていく組織です。
 具体的にはGRを広めて、GRの成功・失敗事例が学べ、課題解決に当たるプレーヤー同士が属する組織を超えて「つながれる」ことがGR協会設立の目的と理由です。(2020年1月設立)

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